国語の記述で何も書けない子が、
最初に探すべき言葉
答えを考える前に、本文から材料を探そう
記述問題になると、鉛筆が止まる
国語のテストで記述問題を見た瞬間、鉛筆が止まってしまう。本文は読めているのに、解答欄が空欄のまま時間が過ぎていく。このような中学生は少なくありません。
個別指導の現場で答案を見ていると、「何も書けない」生徒の多くは、国語の力そのものが足りないわけではありません。答えを思いつくのではなく、材料を探すという手順を、まだ知らないだけの場合が多いのです。
この記事の中心メッセージ
記述問題は、自由に感想を書く問題ではありません。多くの場合、本文の中に答えを組み立てる材料があります。最初からきれいな答案を作ろうとせず、設問の条件を確認し、本文から材料を見つけて組み立てていきましょう。
最初に探すのは「答え」ではありません
タイトルにある「最初に探すべき言葉」とは何か、先に定義しておきます。
最初に探すのは、本文中の「答えの根拠になる言葉」です。
ただし、その前に設問から3点を確認します。ここを飛ばすと、何を探せばよいのか分からないまま本文を読み返すことになります。国語の記述では、この「探す前の確認」が答案の書き方の出発点です。
設問には、探す内容が書かれている
設問を読むときは、次の3つに分けて確認します。
1 誰・何について?
答える対象を確認します。人物名、場面、傍線部などです。
2 何を答える?
理由なのか、気持ちなのか、言い換えなのかを決めます。
3 どんな形で答える?
「〜から」「〜ということ」など、文末の形を先に決めます。
3点を確認すると、探す内容がはっきりします。「何を書けばいいか分からない」状態から、「この種類の言葉を探せばいい」という状態に変わります。
記述問題で何も書けない5つの原因
何も書けない理由は、能力の問題とは限りません。多くは、次の5つのどれかに当てはまります。それぞれ、最初に行う改善も示します。
何を答える問題か分かっていない
よくある状態
設問を最後まで読まず、すぐ本文へ戻っている。「なぜ」「どのような気持ち」などの言葉や、人物、場面、字数、指定語句の条件を見落としている。
最初に行う改善
設問中の重要な条件へ線を引く。先に答えの形を決めると、探す内容が明確になる。
最初から完成した答案を作ろうとしている
よくある状態
最初の一文から正解を書こうとして、手が止まる。
最初に行う改善
まず本文から使えそうな言葉を2~3か所探し、メモする。最初は箇条書きでよく、最後に文章へ整える。
本文ではなく感想を書こうとしている
よくある状態
自分がどう感じたかを書こうとする。本文に書かれていない性格や感情を付け加えてしまう。
最初に行う改善
人物の気持ちを、行動、表情、会話、場面の変化から考える。答案の根拠が本文のどこにあるか確認する。
傍線部の近くだけを探している
よくある状態
傍線部の直前直後だけを見ている。根拠が少し離れた場所にあると気づけない。
最初に行う改善
指示語が指す内容や、同じ言葉が繰り返されている場所を確認する。「しかし」「だから」「そのため」「つまり」に注目し、気持ちの変化なら場面の前後を比べる。
本文をそのまま書き写している
よくある状態
本文の言葉を長く写して、主語が抜けたり、指示語がそのまま残ったりする。
最初に行う改善
指示語を具体的な内容へ置き換える。不要な部分を削り、必要な因果関係を補って、設問に合った文末へ整える。
設問の言葉と探す内容の対応表
設問の言葉ごとに、本文から探すものは決まっています。どのような形で答えるのかも、文末に表れます。
| 設問の言葉 | 本文から探すもの | 答案の文末例 |
|---|---|---|
| なぜですか | 原因、きっかけ、理由を示す言葉 | 〜から。/〜ため。 |
| どのような気持ちですか | 人物の状況、行動、表情、会話、変化 | 〜という気持ち。 |
| どういうことですか | 傍線部を具体的に言い換えている部分 | 〜ということ。 |
| どのように変化しましたか | 変化する前と変化した後 | 〜から〜へ変化した。 |
| 何を表していますか | 表現が示す状況、心情、筆者の考え | 〜ことを表している。 |
※文末例は、機械的に付ければ正解になるものではありません。答案を設問に対応させるための目安です。
本文から「根拠になる言葉」を拾う
短い本文で練習してみましょう。まず本文を読み、そのあと設問を確認します。
翔太は、何度練習しても失敗が続き、本番の朝まで落ち着かなかった。しかし、舞台に立つと仲間の言葉を思い出し、最後まで演奏することができた。舞台を降りた翔太は、ようやく肩の力を抜いた。
設問
翔太が舞台を降りたあと、「肩の力を抜いた」のはなぜですか。
設問から確認すること
- 誰について:翔太
- いつ:舞台を降りたあと
- 何を答える:肩の力を抜いた理由
- 答えの形:「〜から」または「〜ため」
本文から探す根拠は、色分けした4か所です。
失敗が続いた/朝まで落ち着かなかった
仲間の言葉を思い出した
最後まで演奏することができた
答案は、見つけた材料をつないで作る
材料が見つかったら、根拠と設問をつなぐことで答案ができます。今回は、次の組み立てになります。
材料1 前の状況
失敗が続き、本番の朝まで落ち着かなかった
材料2 きっかけ・行動
仲間の言葉を思い出し、最後まで演奏した
材料3 結果
緊張が解けた
文末
「〜から」
答案例
失敗が続いて本番を不安に感じていたが、仲間の言葉を思い出して最後まで演奏することができ、緊張が解けたから。
これは唯一の正解ではありません。本文の根拠を押さえ、設問に対応した内容であれば、別の表現も考えられます。
なお、「緊張が解けた」は、「肩の力を抜いた」という表現と前後の文脈から整理した言葉です。本文にない感情を根拠なく付け足したものではありません。
空欄を減らす5つのステップ
答案の書き方は、次の5段階に分けると、迷わず進めやすくなります。
STEP 1 設問の条件に線を引く
「誰・何」「答える種類」「字数」「指定語句」に線を引きます。
STEP 2 答える種類を決める
「理由」「気持ち」「言い換え」「変化」のどれかを決めると、文末も決まります。
STEP 3 根拠を2~3か所探す
傍線部の前後や、指示語、接続語、同じ言葉の繰り返しを手がかりに、本文へ印を付けます。
STEP 4 材料をつなぐ
見つけた言葉を、設問に合う順番でつなぎます。最初は箇条書きのメモで構いません。
STEP 5 主語・文末・字数を確認する
主語が抜けていないか、文末が設問に対応しているか、字数や誤字脱字に問題がないかを見直します。
よくある答案と改善方法の比較
記述問題でよく見られる状態を、問題点と改善方法で整理します。当てはまるものがあれば、改善の列から試してみてください。
| よくある状態 | 問題点 | 改善方法 |
|---|---|---|
| 何も書かず空欄にする | 根拠を探す前に諦めている | 設問の「誰・何・文末」を先に確認する |
| 本文を長く書き写す | 設問への答えになっていない | 必要な根拠だけを選び、文末を整える |
| 自分の感想を書く | 本文に根拠がない | 行動、会話、表情、接続語から根拠を探す |
| 傍線部の直後だけを見る | 前の場面や指示語を見落とす | 傍線部の前後と、同じ言葉の出現箇所を見る |
| 理由を聞かれているのに「〜こと」で終わる | 設問と文末が対応していない | 「〜から」「〜ため」などで理由を明確にする |
完璧でなくても、空欄にしない書き方
すぐに完璧な答案が作れなくても大丈夫です。次の順番で、部分点につながる可能性のある答案を目指します。
- 登場人物や対象を書く
- 本文中の根拠を一つ入れる
- 設問に合う文末で終える
先ほどの例なら、「翔太は、仲間の言葉を思い出して最後まで演奏できたから。」でも、空欄よりずっと前進です。ここから、前の状況や結果を足して、少しずつ答案を整えていきます。
ただし、「何か書けば必ず部分点がもらえる」わけではありません。採点基準は学校や問題によって異なります。あくまで、根拠を探して答案を作る練習の第一歩として考えてください。
保護者の方は「根拠はどこ?」と聞いてみる
保護者の方へ
正解を教える前に、『根拠は本文のどこ?』と聞いてみてください。
「どう思ったの?」とだけ聞くと、本文から離れた感想になりやすくなります。まず設問は何を聞いているのか、根拠はどこかを一緒に確認してみてください。
- すぐに模範解答を見せず、本文中の使えそうな言葉を探させる
- 答えが模範解答と完全に同じでなくても、根拠と設問への対応を確認する
- 一度に完璧な記述を求めない
- 空欄だった答案を、根拠一つを使った答案へ変えるところから始める
一般的な声掛け例
記述が書けないのは、お子さんの力不足でも、家庭での関わり方のせいでもありません。手順を知り、少しずつ練習すれば、答案は変わっていきます。
記述力は、答えの材料を探すところから始まる
この記事のまとめ
- 設問の条件へ線を引く
- 答える内容と文末を決める
- 本文から根拠になる言葉を探す
- 見つけた材料をつないで答案にする
国語の記述力は、最初から美しい文章を書く力ではありません。設問を読み、本文から必要な言葉を選び、問いに合う形へ整える力です。空欄を減らす第一歩は、本文から答えの材料を一つ見つけることです。
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トライプラス諸口校
「記述問題を空欄にしてしまう」「本文は読めても、答案の作り方が分からない」という場合は、どの段階で止まっているのかを確認し、必要な練習を整理します。お気軽にご相談ください。
- 1対2の担任制個別指導
- 60分の個別指導と40分の演習・AI学習
- 演習時の小テストは80点を合格基準とし、未達の場合は説明後に再確認
- 記述問題では、設問の読み方、本文の根拠、答案の組み立て方を段階的に確認
- 茨田中、茨田北中、横堤中の学校別定期テスト対策
- 開校時間中は自習室を無料で利用可能(自習時は全科目の質問に対応しますが、授業のように付きっきりで指導するものではありません)
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