―中学受験を成功に導く“結果より大切な使い方”とは―
中学受験を意識し始めた小5・小6のお子さまを持つご家庭では、
模擬試験(模試)を受ける機会が増えてきます。
しかし、模試の結果が返ってくるたびに、
「偏差値が下がってショックだった」
「志望校の合格判定が悪くて落ち込んだ」
「模試って受ける意味あるのかな?」
と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
確かに、模試の結果には数字が並び、
志望校の「合格可能性判定」なども示されるため、
どうしても目の前の数値に一喜一憂してしまいます。
ですが、模試の本当の価値は、
偏差値や判定ではなく、「その後の活用」にこそあるのです。
模試を“試験”として終わらせてしまうのではなく、
“学びのツール”として使いこなすことで、受験勉強の質が格段に上がります。
今回は、中学受験を控えるご家庭向けに、
「模試をどのように活かせばよいか」「結果の見方」「模試後の勉強の仕方」
などを具体的に解説します。
■ なぜ模試を受けるのか? 目的を明確にしよう
模試を受ける最大の目的は、「合否を予測する」ことではありません。
それよりも、以下のような5つの目的があります。
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現在の学力を客観的に知る
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自分の得意・苦手を明確にする
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試験本番と同じ形式に慣れる
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時間配分や集中力を鍛える
-
今後の勉強の方針を立てる材料にする
つまり模試は、受験本番へのリハーサルであると同時に、
「次に何を勉強すればよいか」を教えてくれる地図なのです。
■ 「結果の見方」を間違えないことが大切
模試が返却されたとき、
どうしても気になるのが「偏差値」や「志望校の合格判定」でしょう。
もちろん、それらは大切な参考情報です。
しかし、そればかりを見てしまうと、本来の意味を見失ってしまいます。
◎ 合格判定や偏差値は“スナップ写真”
模試の偏差値は、「その日の出来」によって大きく上下します。
前日寝不足だった、体調がよくなかった、ケアレスミスが重なった
——そんな要因で数値は大きくぶれます。
つまり、模試の偏差値や判定は「その瞬間の写真」のようなもの。
1枚の写真だけで全体を判断するのは危険です。
本当に大事なのは、「ここからどんな学びを得るか」。
その視点に立てるかどうかが、模試の価値を大きく左右します。
■ 模試後の“活用ステップ”3つのポイント
模試は、受けて終わりではありません。
むしろ、「受けた後に何をするか」こそが、本当の勝負です。
以下の3つの活用ステップを、毎回必ず実践してみてください。
ステップ①:徹底的に「解き直し」をする
模試の問題を、自宅でもう一度解き直しましょう。
このとき重要なのは、「答え合わせ」ではなく「なぜ間違えたのか」を突き止めることです。
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知識不足だったのか?
-
問題文の読み違いか?
-
計算ミスか?時間が足りなかったのか?
間違いの原因を分類し、ノートにまとめておくことで、
“弱点の見える化”ができます。
算数などの思考力問題は、
再度自力で解いて「理解→再現」ができるか確認するのが鉄則です。
また、「時間をかければできた」問題と
「そもそもわからなかった」問題を分けて分析することも、効率的な学習につながります。
現状を知ることは、とても大切な事です。
この解き直し、は必ず徹底し、次回同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。
ステップ②:「模試ふり返りノート」を作る
模試のたびに、ふり返りの記録を残すことで、成長の記録として活用できます。
記録しておきたいポイントは次の通りです。
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どの教科が良かったか、悪かったか
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それぞれの原因分析(準備不足?緊張?)
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試験中に困ったこと(時間配分・集中力・見直し不足など)
-
今後改善したいポイント
こうした記録を積み重ねていくことで、
“自分の傾向”に気づく力(=メタ認知力)が育ちます。
これは受験本番で冷静に対応するために、非常に大切な力です。
ステップ③:「次にやるべきこと」を具体化する
模試の分析結果をもとに、「次回までにやることリスト」を作成してみましょう。
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理科の計算問題が弱かった → 公式の確認+類題演習
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社会の時代の流れを混乱 → 年表づくり+音読で復習
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算数の割合に時間がかかりすぎた → 基本問題を短時間で解く練習
このように“具体的な行動”に落とし込むことで、
模試は「次の成長のきっかけ」になります。
また、家庭内で週末などに「模試ふり返りミーティング」を行うのもおすすめです。
お子さんの言葉で模試をふり返ることで、自信や自覚が芽生えます。
■ 模試の点数が悪かったとき、親はどう関わる?
模試の結果が思わしくないとき、
つい「どうしてこんなミスをしたの?」「ちゃんと勉強してるの?」
と口にしてしまうことがあります。
でも、模試のたびに責められるような言葉をかけられてしまうと、
「模試=怖いもの」「失敗=怒られるもの」
というイメージが子どもの中に残ってしまいます。
本来、模試は成長のための材料です。
結果が悪かったときこそ、
子どもにとって一番必要なのは「冷静にふり返り、改善点を見つける機会」なのです。
おすすめの声かけ例
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「今回はここが難しかったんだね。でも、それが分かったことが一歩前進だね」
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「この単元は復習すればまだ伸ばせるよ。一緒にやってみよう」
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「偏差値じゃなくて、次にどうするかが一番大事だよ」
このように、結果より「過程」と「これから」に目を向けた言葉をかけることで、
子どもは前向きな気持ちを保ちやすくなります。
■ 模試は“点数を取るため”のものではない
模試の最大の価値は、「点数」ではなく「成長へのきっかけ」です。
模試を通して
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今の実力を知り
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課題を発見し
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学び方を見直し
-
次の行動を決める
このサイクルを回し続けることが、合格に近づく確かな道となります。
模試はあくまで中間地点。結果に一喜一憂するのではなく、
“使いこなす”ことで初めて意味が生まれるツールです。
これから模試を受けるたびに、
「今回はどんな気づきがあるかな?」という視点で向き合っていければ、
お子さんの成長は確実に加速していくでしょう。
模試は成長の良い機会です。
せっかく受けた試験。
数値を見て一喜一憂するのではなく、活かす工夫を凝らしてみましょう。


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