2025年6月10日火曜日

【模試の活用術】

 ―中学受験を成功に導く“結果より大切な使い方”とは―

中学受験を意識し始めた小5・小6のお子さまを持つご家庭では、

模擬試験(模試)を受ける機会が増えてきます。


しかし、模試の結果が返ってくるたびに、


「偏差値が下がってショックだった」

「志望校の合格判定が悪くて落ち込んだ」

「模試って受ける意味あるのかな?」


と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。


確かに、模試の結果には数字が並び、

志望校の「合格可能性判定」なども示されるため、

どうしても目の前の数値に一喜一憂してしまいます。


ですが、模試の本当の価値は、

偏差値や判定ではなく、「その後の活用」にこそあるのです。

模試を“試験”として終わらせてしまうのではなく、

“学びのツール”として使いこなすことで、受験勉強の質が格段に上がります。


今回は、中学受験を控えるご家庭向けに、

「模試をどのように活かせばよいか」「結果の見方」「模試後の勉強の仕方」

などを具体的に解説します。



■ なぜ模試を受けるのか? 目的を明確にしよう

模試を受ける最大の目的は、「合否を予測する」ことではありません。

それよりも、以下のような5つの目的があります。


  1. 現在の学力を客観的に知る

  2. 自分の得意・苦手を明確にする

  3. 試験本番と同じ形式に慣れる

  4. 時間配分や集中力を鍛える

  5. 今後の勉強の方針を立てる材料にする


つまり模試は、受験本番へのリハーサルであると同時に、

「次に何を勉強すればよいか」を教えてくれる地図なのです。



■ 「結果の見方」を間違えないことが大切

模試が返却されたとき、

どうしても気になるのが「偏差値」や「志望校の合格判定」でしょう。

もちろん、それらは大切な参考情報です。

しかし、そればかりを見てしまうと、本来の意味を見失ってしまいます。


◎ 合格判定や偏差値は“スナップ写真”

模試の偏差値は、「その日の出来」によって大きく上下します。

前日寝不足だった、体調がよくなかった、ケアレスミスが重なった

——そんな要因で数値は大きくぶれます。


つまり、模試の偏差値や判定は「その瞬間の写真」のようなもの。

1枚の写真だけで全体を判断するのは危険です。

本当に大事なのは、「ここからどんな学びを得るか」。

その視点に立てるかどうかが、模試の価値を大きく左右します。



■ 模試後の“活用ステップ”3つのポイント

模試は、受けて終わりではありません。

むしろ、「受けた後に何をするか」こそが、本当の勝負です。

以下の3つの活用ステップを、毎回必ず実践してみてください。



ステップ①:徹底的に「解き直し」をする

模試の問題を、自宅でもう一度解き直しましょう。

このとき重要なのは、「答え合わせ」ではなく「なぜ間違えたのか」を突き止めることです。


  • 知識不足だったのか?

  • 問題文の読み違いか?

  • 計算ミスか?時間が足りなかったのか?


間違いの原因を分類し、ノートにまとめておくことで、

“弱点の見える化”ができます。

算数などの思考力問題は、

再度自力で解いて「理解→再現」ができるか確認するのが鉄則です


また、「時間をかければできた」問題と

「そもそもわからなかった」問題を分けて分析することも、効率的な学習につながります。


現状を知ることは、とても大切な事です。

この解き直し、は必ず徹底し、次回同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。



ステップ②:「模試ふり返りノート」を作る

模試のたびに、ふり返りの記録を残すことで、成長の記録として活用できます。

記録しておきたいポイントは次の通りです。


  • どの教科が良かったか、悪かったか

  • それぞれの原因分析(準備不足?緊張?)

  • 試験中に困ったこと(時間配分・集中力・見直し不足など)

  • 今後改善したいポイント


こうした記録を積み重ねていくことで、

“自分の傾向”に気づく力(=メタ認知力)が育ちます。

これは受験本番で冷静に対応するために、非常に大切な力です。



ステップ③:「次にやるべきこと」を具体化する

模試の分析結果をもとに、「次回までにやることリスト」を作成してみましょう。


  • 理科の計算問題が弱かった → 公式の確認+類題演習

  • 社会の時代の流れを混乱 → 年表づくり+音読で復習

  • 算数の割合に時間がかかりすぎた → 基本問題を短時間で解く練習


このように“具体的な行動”に落とし込むことで、

模試は「次の成長のきっかけ」になります。

また、家庭内で週末などに「模試ふり返りミーティング」を行うのもおすすめです。

お子さんの言葉で模試をふり返ることで、自信や自覚が芽生えます。



■ 模試の点数が悪かったとき、親はどう関わる?

模試の結果が思わしくないとき、

つい「どうしてこんなミスをしたの?」「ちゃんと勉強してるの?」

と口にしてしまうことがあります。


でも、模試のたびに責められるような言葉をかけられてしまうと、

「模試=怖いもの」「失敗=怒られるもの」

というイメージが子どもの中に残ってしまいます。


本来、模試は成長のための材料です。

結果が悪かったときこそ、

子どもにとって一番必要なのは「冷静にふり返り、改善点を見つける機会」なのです。


おすすめの声かけ例

  • 「今回はここが難しかったんだね。でも、それが分かったことが一歩前進だね」

  • 「この単元は復習すればまだ伸ばせるよ。一緒にやってみよう」

  • 「偏差値じゃなくて、次にどうするかが一番大事だよ」


このように、結果より「過程」と「これから」に目を向けた言葉をかけることで、

子どもは前向きな気持ちを保ちやすくなります。




■ 模試は“点数を取るため”のものではない

模試の最大の価値は、「点数」ではなく「成長へのきっかけ」です。


模試を通して

  • 今の実力を知り

  • 課題を発見し

  • 学び方を見直し

  • 次の行動を決める


このサイクルを回し続けることが、合格に近づく確かな道となります。


模試はあくまで中間地点。結果に一喜一憂するのではなく、

“使いこなす”ことで初めて意味が生まれるツールです。

これから模試を受けるたびに、

「今回はどんな気づきがあるかな?」という視点で向き合っていければ、

お子さんの成長は確実に加速していくでしょう。


模試は成長の良い機会です。

せっかく受けた試験。

数値を見て一喜一憂するのではなく、活かす工夫を凝らしてみましょう。




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