高校受験|親子で話す志望校選び
『行ける学校』と『行きたい学校』
―志望校を決める前に親子で話すこと
トライプラス諸口校
1.「その成績で大丈夫?」と言う前に
たとえば、本人はある学校に行きたいと考えているのに、保護者は模試の結果を見て、別の学校を勧めたくなる。そんな場面を思い浮かべてみてください。保護者は「失敗してほしくない」と心配し、本人は「まず自分の希望を聞いてほしい」と感じているかもしれません。もちろんこれは一例で、本人や保護者の気持ちは、ご家庭によってさまざまです。
【説明用の場面例】
本人:「この学校に行きたいと思っている」
保護者:「今の判定だと、少し厳しいんじゃない?」
このやりとりのどちらも、間違いではありません。ただ、学校名の賛否から話し始めると、「行ける・行けない」の言い合いになりやすくなります。そこで、学校名の話をする前に、「何を大切にして選びたいか」を確認することから始めてみませんか?
「行ける学校」と「行きたい学校」は、必ずしも対立するものではありません。行ける学校は、今の判定だけで確定するものではなく、「行きたい」という気持ちだけで、合格の可能性や家庭の条件が解決するわけでもありません。両方を確かめながら考えていくのがこの記事の目的です。
2.「行きたい理由」を、学校名の先まで聞く
「友達が行く」「制服が好き」「名前を知っている」。こうした入口も、すぐに否定する必要はありません。大切なのは、そこから学びや生活の具体像へ、少しずつ話を広げていくことです。次のような質問が役に立ちます。
・どこを見て、行きたいと思った?
・その学校で、どんな生活を送りたい?
・授業、部活動、校風、進路のうち、特にひかれるのはどこ?
・まだ分からないことは何?
本人がまだ理由をうまく話せないときは、即決を迫らず、説明会や学校案内を一緒に確認してみましょう。言葉にならない時間があっても、それは考えていないということではありません。材料が増えれば、話せることも増えていきます。
3.親子で話したい5つのこと
志望校を考えるときは、次の5つを順に話してみてください。一度に全部でなくて構いません。
| 話したいこと | 質問の例 |
|---|---|
| ① どんな学びをしたいか 授業の内容や進度、コース、探究活動、進路指導など。宣伝文句ではなく、本人が求める学習と合っているかを見ます。 |
「どんな授業を受けてみたい?」 「その学校の学び方は、自分に合いそう?」 |
| ② どんな毎日を送りたいか 校風、校則、部活動、学校行事、通学時間など。往復の移動や部活後の帰宅時刻も含め、続けられる生活かを考えます。 |
「平日は何時に家を出て、何時に帰る?」 「部活の後でも勉強の時間はとれそう?」 |
| ③ 受験までに何が必要か 必要科目、現在の学習状況、模試や過去問で見える課題、残り期間を整理します。 |
「課題が出ているのはどの教科・単元?」 「次の1か月で何から取り組む?」 |
| ④ 家庭として用意できる条件は何か 学費、入学時の費用、教材・端末、交通費、行事費など。 |
「費用や通学について、先に知っておいてほしいことがあるよ」 |
| ⑤ 希望どおりに進まない場合、どうするか 併願先や別の選択肢も、実際に通う可能性のある学校として調べます。 |
「第一志望の準備と一緒に、ほかの学校も見ておこうか」 |
④では、保護者が条件を確認したうえで、選択に関わる部分を本人にも分かる言葉で伝えます。費用の話を、本人への罪悪感や圧力として使わないことが大切です。⑤は、第一志望への意欲を否定するためではなく、受験計画を具体的にするための準備です。
なお、学校のコース、入試方式、出願条件、専願・併願の扱い、費用、支援制度は、年度や学校によって異なります。具体的な情報は、必ず対象年度の学校公式資料や教育委員会などでご確認ください。
4.成績の話は「無理かどうか」から始めない
判定や点数は、本人の価値や将来の限界を示すものではありません。一方で、不利な結果を見ないことにしたり、「努力すれば必ず届く」と言い切ったりするのも、本人のためにはなりません。次のような材料を並べて、現状を確かめましょう。
・複数回の模試の結果と、日ごろの学習状況
・初見・制限時間内で解いた過去問の結果
・教科別、単元別の課題
・残り期間で取り組める学習
・学校や塾の先生の具体的な見立て
1回の判定だけで合否を断定することはできません。必要に応じて学校や塾の先生にも入ってもらい、本人も同じ情報を見ながら相談できる形にしましょう。
5.意見が食い違ったときは、4つに分けて整理する
意見がぶつかったときは、頭の中で混ざっている話を、次の4つに分けてみてください。
① 本人の希望
「その学校で何をしたいか」
▼
② 確認できている事実
学校の特徴、受験条件、現在の学習状況など
▼
③ 不安や予想
授業についていけるか心配、通学で疲れそう、など
▼
④ 次に確かめること
説明会で質問する、通学経路を試す、先生と学習課題を整理する、など
不安は、事実として断定せず、「確かめられること」に変えていきます。そして、本人の希望も、学校の実情を調べながら見直してよいものです。調べた結果、希望がより具体的になることもあれば、別の学校にも目が向くこともあります。
6.「本人に任せる」は、判断材料を渡すことまで含める
本人の意思を中心にするとは、何も確認せずに任せることではありません。大人には、本人が選ぶための材料をそろえる役割があります。
・制度や期限の確認を支える
・費用や通学など、家庭の条件を共有する
・学校の情報を一緒に集める
・必要なときに、先生へ相談する機会を作る
「本人が選んだのだから、うまくいかなくても全部本人の責任」と突き放す形にはしません。反対に、保護者がすべてを調べて決めてしまい、本人が考える機会をなくすのも避けたいところです。本人が今できることは任せ、必要な部分を補う。それが、無理のない関わり方です。
7.候補校を比べる、小さな比較シート
候補が2校以上あるときは、次のようなシートを作ってみましょう。学校名は架空のA校・B校です。点数化して合計で選ぶのではなく、「確認済み」「まだ不明」「本人が特に大切にしたいこと(★)」が分かるようにします。
| 項目 | A校(例) | B校(例) |
|---|---|---|
| 学びたい内容とのつながり | ★ コースの内容を確認済み | まだ不明(説明会で質問) |
| 学校生活や校風 | まだ不明 | ★ 部活動の様子を確認済み |
| 通学と生活時間 | 経路を試して確認済み | まだ不明 |
| 費用などの条件 | 公式資料で確認済み | まだ不明(資料請求) |
| 受験に向けた課題 | 課題を整理中 | 必要科目を確認済み |
すべての希望を満たす学校が見つからないことも、珍しくありません。そのときは、「譲れない条件」と「相談できる条件」に分けて整理してみてください。
8.話し合いは、1回で結論を出さなくてもよい
学校名、成績、費用、併願先をいっぺんに決めようとすると、話し合いは重くなります。たとえば、次のように進めてみてはいかがでしょうか。
1回目:本人が大切にしたいことを聞く
次の行動:学校情報や家庭の条件を確認する
2回目:分かったことを共有し、候補と課題を整理する
ただし、先延ばしにしてよいわけではありません。出願や学校での手続きに間に合うよう、公式の日程を確認し、次に話す日を決めておきましょう。また、気持ちが高ぶったときは、いったん区切って構いません。「今日はここまでにして、○日の夜にまた話そう」と、再開する日や時刻を一緒に決めておくと安心です。
9.保護者の声かけ
声かけは、言い換えて終わりではありません。言ったあとに、相手の説明を聞くところまでがセットです。また、偏差値の高低は、学校や生徒の価値の高低ではありません。
「その成績では無理でしょう」
→「今の結果と、必要な準備を一緒に確認しようか」
「こっちの学校の方が絶対いい」
→「私はこの点が気になっている。あなたはどう思う?」
「好きにすればいい」
→「あなたの希望を聞いたうえで、条件と準備を一緒に整理したい」
「せっかく上の学校に行けるのに」
→「あなたが学校選びで大切にしたいことを教えてほしい」
返事がすぐに返ってこなくても、急かさず待ってみてください。沈黙は、考えている途中ということもあります。
10.まとめ
この記事の要点
① 本人がその学校にひかれる理由を聞く
② 学び、生活、受験の見通し、家庭の条件を確かめる
③ 希望と事実を共有し、次に行うことを決める
今日からできる最初の一歩として、親子それぞれが、学校選びで大切にしたいことを3つ書き、理由を伝え合ってみてください。3つというのは、話し始めるための目安です。書き方に決まりはありません。 相手の3つを、まずは最後まで聞くことから始めましょう。
トライプラス諸口校
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※ 本記事は一般的な考え方をまとめたものであり、合格や入学後の満足を保証するものではありません。学校ごとの制度・日程・費用などは、必ず公式の情報でご確認ください。
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