〜心理学で読み解く“現状維持バイアス”〜
「勉強しなきゃ…でも、ついスマホを触ってしまう」
「片づけようと思ってるのに、なぜか腰が重い」
「やらないといけない仕事があるのに、なかなか手がつかない」
こういった“やる気のなさ”や“先延ばし”に、心当たりはありませんか?
頭では「やったほうがいい」「今やるべき」と分かっているのに、
どうしても体が動かない…。
その原因は、あなたの意志が弱いからではありません。
実はこれ、人間に元々備わっている「心理のしくみ」が関係しているのです。
◆「現状維持バイアス」とは?
人にはもともと「今のままでいたい」という心理的傾向が備わっています。
これを心理学では「現状維持バイアス(Status Quo Bias)」と呼びます。
この現象は、
「何か新しいことを始めようとすると不安になる」「変わるのが怖い」
といった気持ちとして、私たちの行動に現れます。
「やったことがない勉強法を試す」
「普段しない時間に家事をやってみる」
「初めての業務に取り組む」
こういった変化には、どこかしら抵抗を感じることがあるはずです。
それは、人間の脳が“安定”や“予測できること”を好むようにできているからなんです。
◆なぜ人は変わることを避けるのか?
では、なぜ人は変化を避け、現状にしがみつこうとするのでしょうか?
主に以下の3つの心理的な理由が考えられます。
①「損したくない」から
心理学では「損失回避の法則(loss aversion)」と呼ばれる考えがあります。
これは、人は「得すること」よりも「損を避けること」を優先しがち、というもの。
例えば、「勉強を始めてもどうせ続かない」「時間の無駄になるかも」と思ってしまうのは、
未来の成功より、今の安心感を手放すことに不安を感じているからなんです。
②「どうなるか分からない未来が怖い」
人は「結果が分からないもの」に対して不安を感じる傾向があります。
勉強も、家事も、仕事も、「やってみないと結果が見えない」ものですよね。
その“見えない不安”が、「とりあえず現状のままで…」という思考を引き起こすのです。
③「脳が省エネモードになっている」
脳はとてもエネルギーを使う臓器です。
だからこそ、新しい行動や考え方にはなるべくエネルギーを使わずに済ませようとします。
この“省エネ思考”も、現状維持を後押ししてしまいます。
◆でも、“変わりたい”気持ちは本物ですよね
このように、「変わりたくても動けない」ことには、ちゃんとした理由があります。
でも、安心してください。
この現状維持バイアスを完全に消すことはできなくても、
“乗り越える工夫”はできるのです。
以下は、日常で実践できるちょっとしたコツです。
◆現状維持を打破する3つの行動アイデア
✅1. 「最小ステップ」から始める
行動のハードルを思いっきり下げてみましょう。
・「勉強机に3分座るだけ」
・「洗濯物を1枚だけたたむ」
・「パソコンを開くだけ」
不思議なことに、こうした“とても簡単なこと”から始めると、
自然と次の行動につながることが多いです。
人間は「やり始める」ことが最大の関門。
始まってしまえば、流れに乗ることができます。
✅2. 未来の自分をリアルに想像してみる
「このまま何もしなかったらどうなる?」
「今ここで5分だけ頑張ったら、どう変わる?」
こうした“未来の自分”を具体的にイメージすることで、
脳は「今の行動の意味」を実感しやすくなります。
変化は“怖いもの”ではなく、“明るい未来への一歩”だと認識できるようになります。
✅3. 「やらされてる」から「自分で選んだ」に変換する
同じ行動でも、「自分で決めてやる」のと「言われたからやる」では、
やる気の質がまったく違います。
・ToDoリストに「自分の言葉で」タスクを書く
・チェックボックスに自分で✔を入れる
これだけでも、主体性が芽生え、行動への意欲が高まるのです。
◆あなたのせいじゃない、脳のせい
「動けない自分」に対して、つい責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、現状維持バイアスは人間なら誰にでもある自然な反応です。
だからこそ、ちょっとした工夫や視点の転換で、
私たちは少しずつ前に進むことができます。
勉強も、家事も、仕事も、まずは「ほんの小さな一歩」から。
その一歩が、やがてあなたの未来を変える大きな変化につながっていくかもしれません。


にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿