大学受験 × 高校の文理選択
高校の文理選択、
得意科目だけで決めると後悔する理由
1.「数学が苦手だから文系」で、決めてよい?
「数学が得意だから理系」「国語が好きだから文系」「数学が苦手だから文系」。文理選択を前にすると、多くのご家庭がまず得意・不得意から考え始めます。これはごく自然なことですし、得意科目は進路を考えるうえで大切な判断材料です。
ただ、今の点数だけでは、大学で何を学ぶのか、どの科目が必要なのかまでは分かりません。得意科目を無視する必要はありません。ほかの判断材料と組み合わせて考えることが、本人が納得して選ぶ近道になります。この記事では、次の3つを照らし合わせる考え方をご紹介します。
文理選択の3つの判断基準
1何を学んでみたいか
2その進路に、どの履修・受験科目が必要か
3現在の理解度と、高校での学習条件はどうか
2.得意科目だけで決めたときに起こりやすい3つの行き違い
得意科目だけで選ぶと、次のような行き違いが起こる場合があります。以下は説明用の仮例で、必ずこうなるという意味ではありません。
① 学ぶ内容への関心が薄かった。たとえば、受験しやすそうな学部を選んだものの、入学後の授業にあまり興味を持てなかった、というケースです。
② 必要な科目を履修していなかった。興味のある学科が見つかったときには、その学びや入試に必要な科目を高校で選んでいなかった、というケースです。
③ 学習内容が変わり、想定した負担と違った。中学で得意だった教科も、高校では内容が深まり、思っていた負担と違うことがあります。
一方で、得意科目は高校で変わることがありますし、苦手が補えることもあります。今の成績を、固定的な能力のように結びつけすぎないことも大切です。
3.基準①:「なりたい職業」が未定でも、学びたいテーマは探せる
文理選択の前に、職業を1つに決める必要はありません。職業が未定でも、関心のあるテーマからなら考え始められます。たとえば次のような関心です。
- 人の行動や社会の仕組みに興味がある
- データを使って物事を調べたい
- 生き物や環境について学びたい
- ものづくりや仕組みを考えることが好き
関心が見つかったら、学部名だけで判断せず、大学公式サイトの授業科目、カリキュラム、研究室、学科紹介を見てみましょう。同じ名称の学部でも、大学によって学ぶ内容が異なる場合があります。
4.基準②:「大学の学び」「入試」「高校の履修」をつなぐ
関心のある学びが見えてきたら、次の3段階で確認します。
確認する項目は、次の表のとおりです。
| 見る資料 | 確認項目 |
|---|---|
| 大学側 | 必要科目、科目の組合せ、配点、履修条件 |
| 高校側 | 開講科目、選択の組合せ、授業時間、変更期限 |
| 本人側 | 現在の理解度、必要な補習や学び直し、学習時間 |
注意したいのは、入試で選べる科目でも、高校の授業では履修できない場合があることです。大学の資料と高校の資料の両方を見てください。また、入試で使う科目と、入学後に学ぶために必要な知識は別のものです。大学の出願資格、入試科目、配点、推奨履修科目は、大学・学部・学科・方式・入学年度によって異なります。必ず本人が受験する入学年度の大学公式資料で確認し、まだ公表されていない場合は、最新の公表分を暫定情報として扱い、あらためて確認しましょう。
5.基準③:今の得意・不得意を「中身」で確かめる
同じ「数学が苦手」でも、中身はさまざまです。
- 計算の前提が不安定になっている
- 授業の進度に、復習が追いつかない
- 文章や条件の整理で手が止まる
英語や国語も同じで、「教科全体が向いていない」とまとめず、答案や普段の学習の様子から、どこでつまずいているのかを見てみましょう。つまずきの場所が分かれば、学び直しの方法も見えてきます。
そのうえで、必要な科目を続けて学ぶ負担、使える時間、学校や塾で受けられる支援を考えます。「努力すれば何でも可能」とは言い切れません。本人の関心と、実行できる学習計画を合わせて検討することが大切です。
6.まだ進路が決まらないときの、候補の絞り方
進路が決まらないときは、関心のある学問分野を2〜3個挙げ、それぞれについて「実際に学ぶ内容」「履修・受験に必要な科目」「高校で選べる科目」「まだ分からないこと」を調べます。2〜3個という数は、始めやすくするための例です。すべての進路を残そうとして、過大な負担を抱えないようにしましょう。反対に、1つの大学の条件だけで決める前に、ほかの候補にも共通する要件がないかも見ておくと安心です。
次のような表を作って、調べながら埋めてみてください(実在校の条件は、確認できたものだけを書き込みます)。
| 候補分野 | 学びたい内容 | 必要科目の確認 | 高校での履修 |
|---|---|---|---|
| 分野A | (調べて記入) | (公式資料で確認) | (選択表と照合) |
| 分野B | (調べて記入) | (公式資料で確認) | (選択表と照合) |
| 分野C | (調べて記入) | (公式資料で確認) | (選択表と照合) |
7.選択後に希望が変わったら、最初に確認すること
選択のあとに希望が変わることもあります。変えようと考えたこと自体は、失敗ではありません。まずは次の点を確認しましょう。
- 高校で科目やコースを変更できるか
- 変更に必要な手続きや期限はあるか
- 不足する科目を、いつ、どう学ぶか
- 希望先の出願資格や試験条件に対応できるか
- ほかの学科や入試方式に、関心に合う選択肢はないか
変更できるかどうかは高校ごとに異なり、必ず可能とは限りません。不足する科目を独学で簡単に補えるとも言えません。学校の先生や進路担当の先生に、早めに相談してください。
8.親子で話したい質問
話し合いのきっかけになる質問例
- その分野の、何が気になっている?
- 大学では、どんな授業を受けてみたい?
- 必要な科目は、どの資料で確認した?
- 今、不安なのは内容、勉強量、それとも進路の情報?
- 学校の先生に、何を相談すると決めやすくなりそう?
保護者の方の経験や、就職についてのお考えは、本人の希望を聞いたうえで共有しましょう。性別や「文系向き・理系向き」といった固定観念で決めないことも大切です。声かけは、次のように言い換えられます。
「数学が苦手なら文系にしなさい」
→「必要な数学の内容と、今困っているところを確認しようか」
「理系の方が将来安心」
→「どんな学びや進路につながるのか、一緒に調べよう」
9.まとめと無料体験授業のご案内
今日のポイント
- 学びたい内容を、学部名の先まで調べる
- 大学の必要科目と、高校での履修を照らし合わせる
- 得意・不得意の中身と、続けられる学習条件を確認する
最初の一歩として、関心のある学科を1つ選び、授業内容と必要科目を調べ、高校の科目選択表と並べてみることから始めてみてください。
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