テスト前の睡眠と勉強
テスト前に睡眠を削る子ほど、覚えた内容を失っています
頑張った勉強を、翌日に生かすために。今夜の「終わり方」を見直してみませんか。
この記事のポイント
テスト前の睡眠は、勉強を奪う時間ではなく、覚えたことを当日に使える状態にするための準備の一部です。「終わるまで寝ない」ではなく、「終わる時刻を決めて、内容を絞る」方法をまとめました。
夜中まで覚えたのに、翌朝に出てこない
例えば、テスト前日の夜。社会の用語を何度も読み返し、気づけば深夜です。ところが翌朝、問題を見ても答えが出てきません。「やっぱり勉強が足りなかった」と考え、その夜はさらに睡眠を削ってしまう。そんな悪循環に入りやすい時期です。
夜更かしの背景には、ワークの量、点数への不安、部活動や通学で机に向かう時刻が遅くなる事情があります。ですから、「早く寝なさい」と言いたいのではありません。
「失っています」という言葉にドキッとした方もいるでしょう。もちろん、睡眠を削ると記憶が必ず消える、すべての子に当てはまる、という意味ではありません。ただ、睡眠は学んだ内容の定着に関わるため、削りすぎると、覚えた内容を定着させたり、必要なときに思い出して使ったりすることに支障が出る場合があります。努力を否定せず、頑張りを翌日に生かすために、睡眠も含めて勉強の組み立てを見直していきましょう。
睡眠不足は、勉強のどこに影響するのか
影響は、三つの場面に分けると整理しやすくなります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠不足は注意力や判断力の低下、学業成績の低下などに関連し、睡眠には記憶の定着・強化に関わる働きがあるとされています。
覚えるとき
眠気で注意が続かず、読んでいても内容を十分に捉えられないことがあります。
覚えたあと
睡眠は学んだ内容の定着に関わるため、大きく削ると不利に働く場合があります。ただし、寝れば自動で暗記できるわけでも、復習が不要になるわけでもありません。
テストで使うとき
注意がそれる、条件を読み落とす、作業が遅れるなど、知識を使う場面にも影響し得ます。
「覚えられなかった」「定着が十分でなかった」「思い出せなかった」は、同じではありません。どこでつまずいたかで、見直す場所が変わります。
頑張っているのに効率が下がっているサイン
次のような様子は、粘り方を変える目安です。
・同じ行を何度も読んでいる
・解説を読んでも内容が頭に入らない
・普段できる計算や書き写しでミスが続く
・机に向かっているが、ほとんど進んでいない
ただし、睡眠不足だけが原因とは限りません。疲れや、その単元の難しさ、理解のあいまいさでも起こります。決めつけず、「今のやり方で進んでいるか」を見てください。
選択肢は「もう少し粘る」だけではありません。区切って休む、翌日に回す、質問する問題を決めて印を付ける、という方法もあります。
寝る時刻から逆算して、勉強の終了時刻をつくる
起床時刻は学校で決まります。そこから逆算して、眠る時間と寝る前の準備を先に確保し、勉強を終える時刻を決めます。
同じ厚生労働省のガイドは、中学・高校生に8〜10時間の睡眠時間を参考にするよう示しています。ただし必要な時間には個人差があり、全員に当てはまる数字ではありません。日中の眠気や朝の目覚めの感覚も目安にしてください。また、寝る前の少なくとも1時間は、勉強に追われずリラックスする時間をとることが有効とされています。
STEP 1
翌朝の予定を確認する
起きる時刻と、試験・提出物を確かめます
STEP 2
睡眠と就寝準備の時間を確保する
眠る時間と、寝る前の準備を先に置きます
STEP 3
勉強を終える時刻を決める
「終わるまで」ではなく、時刻で区切ります
STEP 4
今夜取り組む内容を絞る
終了時刻までに確かめる範囲に限ります
STEP 5
終わらなかった分の扱いを決める
翌日以降のどこに置くかを決めます
一律の就寝時刻は決めません。家庭ごとの起床時刻や部活動の事情に合わせて組み立てます。また、早起きして睡眠を短くして取り戻す方法はおすすめしません。眠れない日が続く、日中の眠気が強いといったときは、学校や医療機関にも相談してください。
今夜やること、翌日に回すことを選ぶ
限られた時間では、当日に使える状態へ近づく作業を優先します。一例です。
| 今夜の限られた時間で取り組む候補 | 翌日以降に回す候補 |
|---|---|
| ・翌日の試験範囲にある基本事項の確認 ・一度間違えた問題を、答えを見ずに解く ・重要語句を短い確認問題で確かめる |
・ノートを最初からきれいに書き直す ・すでに自力で解ける問題を大量に繰り返す ・翌日の試験範囲と関係の薄い内容 ・基本が未定着のまま取り組む難しい発展問題 |
| 当日に思い出して使う練習に直結しやすい作業です。 | 今夜は優先度が下がりやすい作業です。 |
ただし、学校の提出課題や翌日の試験に必要な内容まで、機械的に後回しにするという意味ではありません。間に合わない見通しがあるときは、一人で抱え込まず、早めに学校の先生に相談しましょう。
寝る前は「長く読む」より、短く確かめて終える
長く読み続けるより、短く確かめて終えるほうが、区切りをつけやすくなります。
1.今日学んだ内容から、確認するものを少数選ぶ
全部ではなく、絞って選びます。
2.答えを隠して、説明する・書く・解く
読んで「分かった気」にならず、自力で出せるか確かめます。
3.出てこなかった箇所を確認する
見直すのは、そこだけで十分です。
4.次に確認する場所をメモして、終了する
続きはメモに預けて、ここで区切ります。
出てこなかった箇所は「できなかった印」ではなく、次に確かめる場所が見つかったという収穫です。
就寝直前の勉強が誰にでも最適とは限りません。難問で気持ちが高ぶる、終わりが決まらないといった場合は、確認を早めに済ませて勉強から離れましょう。翌朝に見直すときも、早起きで睡眠を削らず、いつもの起床時刻のまま、登校前の短い時間にメモを見る程度にします。
すでにテスト前日で、終わっていないときは
まだ終わっていなくても、今からできることがあります。
翌日の試験と提出物を確認する
何の教科があり、何を出すのかを書き出します。
未着手の量ではなく、今から確認すべき内容を絞る
残りの量を数えず、明日の範囲で今夜確かめられる内容を選びます。
持ち物と起床の準備をして、決めた時刻に切り上げる
準備を終えたら、時刻で区切ります。
一晩で全部を取り戻す計画は立てません。終わらなかった理由は、次回の課題に着手する日や復習の日を変える材料にします。今夜の自分を責める材料にはしないでください。
保護者の声かけ:努力を認めて、終わり方を手伝う
声かけ一つで、その夜の終わり方は変わります。比べてみましょう。
| よくある声かけ | 言い換えの例 |
|---|---|
| 「まだ終わっていないの?寝ている場合じゃないでしょう」 | 「残っている中で、明日に必要なものから整理しようか」 |
| 「早く寝なさい!」だけで終える | 「今日は何時に終える?それまでに確認するものを一緒に決めようか」 |
| 「夜遅くまで頑張っていて偉いね」 | 「間違えた問題を確認できたね。明日に生かせるよう、今日はここで終わろう」 |
夜更かしそのものを努力の証拠にせず、取り組んだ内容や工夫を認めてください。細かく見張る必要はなく、終了時刻と確認する内容を子ども自身が決めるのを手伝えば十分です。
今日からできる三つのこと
1.勉強の終了時刻を決める
起床時刻から逆算して、先に置きます。
2.今夜確認する内容を絞る
明日の試験に必要なものから選びます。
3.できなかった分は次の予定に置き直す
今夜で取り返そうとせず、日程に移します。
睡眠を確保することは、頑張った勉強をテストで使うための準備でもあります。早く寝れば成績が上がる、という単純な話ではありません。それでも、終わる時刻と内容を先に決めておけば、夜は「焦る時間」から「明日に備える時間」に変わっていきます。
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