気になる中学受験にかかる費用
中学受験を考えるとき、
多くの保護者がまず気にかけるのは「学力面」や「志望校の選び方」。
しかし、それと同じくらい、あるいはそれ以上に深刻なのが「経済的な負担」です。
「塾代がこんなにかかるなんて…」
「模試や講習、教材費…積もると家計が苦しい」
「うちは受験させてあげられる余裕があるのだろうか」
今回は、中学受験にかかる平均的な費用を具体的にご紹介しながら、
経済的な負担をどう乗り越えていくか、
保護者目線でできる工夫や考え方をまとめています。
正直この内容、塾の経営者である私が書いてよいものかどうか、
非常に迷いました。
ですが、面談等で費用面の相談を受けることも、
過去多くありましたので、お伝えできればな、と思いました。
■ 中学受験にかかる費用って、実際どれくらい?
文部科学省や民間教育研究機関の調査によると、
中学受験を目指す家庭が小学校高学年(特に小5〜小6)で支出する学習費用の総額は、
平均して約200〜250万円とも言われています。
▶ 具体的な内訳は以下の通り:
項目 | 小6時点の年間平均費用(目安) |
---|---|
塾の授業料(月謝) | 約30,000〜70,000円/月 ×12ヶ月 = 約36〜84万円 |
季節講習(春・夏・冬) | 合計 約20〜40万円 |
模試・テスト代 | 年間 約5〜10万円 |
教材費・プリント代 | 年間 約5〜10万円 |
入試出願費用(複数校) | 1校あたり2〜3万円 ×3〜5校 = 約10〜15万円 |
入学金・学用品(入学時) | 初年度 約30万円(私立の場合) |
さらに、難関校を目指す場合や個別指導塾・家庭教師を併用しているご家庭では、
年間200万円を超えるケースも珍しくありません。
上記平均の塾代に差があるのは、個人塾や進学塾、オンラインなど、
塾の形態も様々で、どこに通うのかで大きな差が出ます。
■ なぜこんなにお金がかかるのか?
中学受験は、学校の勉強だけでは対応できない高度な内容が求められるため、
塾通いが“前提”になっているケースが多いです。
そのため、次のような費用が重なります。
-
レベル別・志望校別の特別講座(オプション費用)
-
模試対策や過去問添削の個別対応
-
季節講習での追加コマ数
-
交通費やお弁当などの付帯費用
また、「1点でも多くとるために…」という心理が働きやすく、
追加投資を正当化しやすい状況になることも、家計にとっては重圧となりやすいのです。
中学受験の基本授業の値段が高い理由はもう一つ。
小学生に高度な学習(特殊算や、場合の数、数列など)、
つまり単元によっては高校生や中学生の内容を小学生流に解く。
それらを教えるには、訓練された講師がつきます。
個別指導では、中学生の授業料金よりも中学受験生の方が高くなる傾向にあります。
■ 経済的な不安が心を占めすぎないように
「こんなにお金をかけて、もし不合格だったら…」
「兄弟にも同じようにしてあげられるだろうか…」
「進学後の私立の学費も続けて払えるだろうか」
受験準備中の家庭では、
このような言葉にできない不安や罪悪感を保護者が抱えることがあります。
特に共働き世帯や、下の兄弟がいる家庭では、
受験費用の偏りが家庭内のバランスにも影響を与えかねません。
でも、忘れてはいけないのは、
「お金をかけたから成功する」わけでも、
「お金をかけなければ失敗する」わけでもない
ということです。
■ 経済的な負担と向き合う3つの具体的対策
① 家計と受験費用を「別立て」で管理する
中学受験の出費は、生活費と混ぜると感覚が麻痺してしまいがちです。
あらかじめ「受験用口座」や「積立費」を分けて管理しておくと、
今後必要な費用の見通しが立てやすくなります。
また、年間スケジュールを塾からもらったら、
講習・模試・教材などの予定を一覧化して、
月ごとの出費を予測しておくのもおすすめです。
② 「すべてやらせる」より「目的を絞る」
塾や教材は「やろうと思えばいくらでも手を出せる」世界です。
しかし、“何のために必要なのか”を冷静に見極める視点が不可欠です。
たとえば、
-
模試は全て受けるのではなく、意味のある回だけにする
-
過去問添削も、「自宅でできるなら家庭内で工夫する」
-
講習もすべてではなく、必要な単元だけピックアップして参加
など、“選択と集中”で費用と効果のバランスを取ることが、
長期的には負担を減らすコツになります。
③ 合格後の学費シミュレーションも今のうちに
忘れてはいけないのが、受験後にも教育費は続くということ。
特に私立中学に進学した場合、
授業料だけで年間50〜70万円程度がかかるほか、
制服代・教材費・修学旅行積立・寄付金など、
年間トータルで100万円前後の負担になるケースもあります。
合格後の生活をイメージして、
奨学金制度、通学定期、塾の継続なども視野に入れながら、
数年単位の家計計画を立てておくことをおすすめします。
■ 「かけたお金」ではなく「かけた想い」が支える受験
中学受験には確かにお金がかかります。
けれど、
一番大切なのは「どれだけお金をかけたか」ではなく、
「どれだけその子のことを考えて向き合ったか」。
大切なのは、家庭の価値観にあった進め方を選ぶこと。
無理をしてまで詰め込むのではなく、
家族全体が納得できる“ちょうどいいバランス”を見つけることが、
子どもにとっても安心につながります。
「できる範囲で、精一杯応援する」
それだけで、十分すぎるほど立派なサポートだと思いますよ。

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