シリーズ「息子と歩いた、二つの受験」
息子と歩いた中学受験 #03
受験生の夏に、オーストラリアへ
―勉強を離れた時間と、その後の現実
受験勉強から離れた夏。その後の結果も含めて、わが家の受験でした。
前回は、送迎できるのが基本的に日曜日だけだったわが家が、浜学園のWeb受講を中心に中学受験を進めたことを書きました。
今回は、その中学受験の日々のなかでも、とくに一般的な受験の過ごし方とは違っていた、小学6年生の夏を振り返ります。受験まで残り半年ほどとなるその時期に、息子はオーストラリアへ向かいました。
私は今、個別指導塾で教室長として、また講師として、保護者の方とお話しする立場にいます。けれども当時は、教育の仕事をしていても、わが子の受験では一人の保護者でした。ここに書くのは、その保護者として実際に過ごした夏と、その後に受け止めた結果の記録です。
小学6年生の夏、わが家は少し違う道を歩きました
中学受験では、小学6年生の夏は「受験の天王山」と表現されることの多い、大切な時期です。夏期講習や総復習に取り組み、勉強量を増やすご家庭も少なくありません。
その時期に、わが家の息子はオーストラリアへホームステイに行きました。わが家の夏は、一般的な受験生の夏とは少し違うものになったのです。
この記事は、ホームステイをすすめるものではありません。もちろん、夏に勉強を優先したご家庭の選択を否定するものでもありません。ひとつの家庭に起きたことを、そのまま書き留めておきたいと思います。
受験勉強から離れた夏休み
中学受験を控えたこの夏休みの間、息子は受験勉強をほとんどしませんでした。
入試までの残り時間を考えれば、学習面に空白が生まれたことは確かです。その事実を、あとから美化するつもりはありません。
かといって、勉強から離れたことが良かったとも、夏を無駄にしたとも、私は言い切れずにいます。ただ、そのような夏だった、という事実があります。
帰国後、9月の公開テスト
帰国後の9月、息子は公開テストを受けました。
結果は、偏差値がそれまでと比べておよそ20下がったというものでした。小さな下落ではありません。成績を見た私は、少し動揺しました。
9月の公開テストは、受験勉強から離れたあとの現在地を、数字ではっきりと示してくれました。偏差値が下がったという現実は、そのまま受け止めるしかありませんでした。
息子は、焦っているようには見えませんでした
少なくとも親から見る限り、息子は焦っているようには見えませんでした。
本人の本当の内面までは、私には分かりません。心の中でどう感じていたのかを、私が代わりに語ることはできないのです。それでも、落ち着いて見えるその様子は、親にとって安心材料のひとつになりました。
私自身は、結果を見て少し動揺しました。ただ、その気持ちを必要以上に膨らませることはしませんでした。数字を見て揺れる自分の気持ちと、目の前にいる息子の様子を、分けて見るようにしたのです。
一枚の成績表で、それまでの力を否定しない
私には、息子は「もともとはできている」という信頼がありました。
偏差値が下がったことと、これまで身につけた力がすべてなくなったことは、同じではありません。一度の公開テストだけで、中学受験全体の結論を出すことはしませんでした。
親子ともに、必要以上に悲観することはありませんでした。「なるようになる」という気持ちで、次に必要なことへ進んだのです。
この「なるようになる」は、何もせずに待つという意味ではありません。目の前の結果はきちんと受け止めたうえで、気持ちだけは沈み込まないようにする。私にとっては、そのための言葉でした。
選択の結果も含めて、次へ進む
ホームステイに行ったという選択を、合否や偏差値だけで、正解か不正解かに分けることはしませんでした。
ただ一方で、受験勉強から離れたあとに、学習面の立て直しが必要だったことも事実です。
終わった夏を悔やむより、今の息子に何を戻す必要があるのかを考えました。そこで立て直しの中心にしたのが、もともと得意だった算数と理科です。
算数では基礎問題集を使い、決めた時間内に多くの問題を解きました。ミスがなくなるまで繰り返しました。理科では重要語句の抜け落ちがないかを確認し、図鑑を広げて、図と知識を結びつけながら覚え直しました。
詳しい進め方は、次回以降に書きます。
夏から11月までの流れ
小学6年生の夏
オーストラリアへホームステイ
受験勉強から大きく離れる
9月
公開テストで
偏差値がおよそ20低下
立て直し
得意だった算数と理科を中心に、基礎と精度を確認
11月
公開テストで巻き返し
今、振り返って思うこと
この経験は、「受験生も夏に勉強しなくてよい」という話ではありません。小学6年生の夏にホームステイへ行くことを、おすすめする記事でもありません。
家庭によって、大切にしたい経験も、受験への向き合い方も異なります。そして、どのような選択をしても、その後に現実的な影響が出ることはあります。わが家の場合、それが9月の成績でした。
大切なのは、結果を見て選択そのものを責め続けることではなく、現在地から必要なことを考えることだと、今は思っています。一度の偏差値で、それまでの努力や子どもの可能性まで否定しないこと。そして、親が不安になったときほど、数字と子ども本人の様子を分けて見ることが必要だと感じています。
この経験を、すべての受験生へ勧めるものではありません
小学6年生の夏の過ごし方は、志望校、学力、塾の予定、そして家庭の考え方によって、それぞれ異なります。
この記事は、夏休みに勉強しないことやホームステイを推奨するものではありません。わが家では、その後に成績が下がり、学習の立て直しが必要になりました。
どうか、ひとつの家庭の経験として、静かに読んでいただければ幸いです。
今、受験期にいる保護者の方へ
秋の模試や公開テストで成績が大きく下がると、不安になるのは自然なことです。中学受験の保護者として、心が揺れない方のほうが少ないのではないでしょうか。
その結果を軽く扱う必要はありません。けれども、一度の数字ですべてを決める必要もないと思います。
「なぜ下がったのか」を考えることに加えて、「どこからなら戻せるのか」にも目を向けてみてください。過去の選択を責めるよりも、今できることへ視線を戻す。そのための第一歩が、成績の立て直しにつながることもあります。
子どもの状態は、家庭ごとに違います。お子さんの様子を見ながら、それぞれのご家庭に合った立て直し方を考えてもらえたらと思います。
次回予告
次回は、9月の成績低下のあと、なぜ苦手科目を広くやり直すのではなく、得意だった算数から立て直したのかを振り返ります。
学習のご相談について
模試や公開テストで成績が大きく下がり、どこから立て直せばよいか分からないときは、ご相談ください。答案や普段お使いの教材を確認しながら、現在の課題を一緒に整理いたします。
トライプラス諸口校 無料体験授業・学習相談を受け付けております。
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