英語長文・読解力
英語の長文、
単語の意味は分かるのに読めない本当の理由
必要なのは、単語と文章をつなぐ力です
単語は分かる。それでも読めないのはなぜ?
「英単語テストでは点数が取れるのに、英語長文になると内容が頭に残らない」。
「一つ一つの単語は分かるのに、文全体の意味がつかめない」。
このような「単語は分かるのに長文が読めない」という相談は、中学生にも高校生にも、とても多くあります。保護者の方も、お子さんの様子を見て「単語はやっているのに、なぜだろう」と心配されているかもしれません。
教室で生徒を指導していると、このタイプの生徒は決してサボっているわけではありません。むしろ真面目に単語帳を開いている生徒が多いのです。足りないのは努力ではなく、練習の「段階」であることがほとんどです。
単語の意味が分かることと、文章が読めることは同じではありません。
長文は「単語の足し算」ではありません
英文は、単語を並べただけのものではありません。単語どうしがつながり、文になり、さらに文が集まって段落になります。そこには決まりごとと流れがあります。
長文読解では、単語の知識に加えて、次の力が必要になります。
- 文の骨格(主語と動詞)を見つける力
- 意味のかたまりで読む力
- 修飾関係を整理する力
- 代名詞や接続語から文章のつながりを追う力
- 一文ごとの内容をつなぎ、段落の要点を捉える力
ただし、単語学習が不要だという話ではありません。単語力は英文読解の大切な土台です。土台があるからこそ、次の段階の練習が生きてきます。単語を覚えることと文章を読めることの間には、もう一段階の練習が必要なのです。
つまり、「単語を日本語へ置き換える作業」から、「英文の構造と流れを捉える読み方」へ切り替えていくことが、英文読解の第一歩になります。
読めない5つの原因
長文が読めない理由は、大きく5つに分けられます。自分やお子さんがどこで止まっているのか、確認しながら読んでみてください。
理由 1
知っている単語を一語ずつ訳している
よくある状態:文の後半を読むころには、前半の内容を忘れてしまう。
改善の方向性:意味のかたまりで、英語の語順のまま大意を取る。
理由 2
主語と動詞を見つけられていない
よくある状態:長い文のどれが中心の動詞なのか、分からなくなる。
改善の方向性:まず文の骨格を探し、必要に応じて目的語や補語を確認する。
理由 3
どの言葉がどこを説明しているか分からない
よくある状態:修飾先を取り違えて、文全体の意味が変わってしまう。
改善の方向性:説明部分を括弧で囲み、何を説明しているか確認する。
理由 4
代名詞と接続語を読み飛ばしている
よくある状態:文と文のつながりを見失い、話の方向が分からなくなる。
改善の方向性:指示内容と論理関係を確認しながら読む。
理由 5
段落の要点を捉えていない
よくある状態:一文は訳せても、何の話だったのか残らない。
改善の方向性:段落ごとに一言でまとめる。
理由1 一語ずつ日本語に置き換えている
英文を一語ずつ日本語へ変換していくと、文が長くなるほど最初の内容を忘れやすくなります。さらに、英語と日本語は語順が異なります。後ろから戻って訳す癖がつくと、英文読解の速度はなかなか上がりません。
ここで意識したいのは、単語ではなく「意味のかたまり」で捉えることです。意味のかたまりとは、前置詞句(in the park など)、不定詞(to understand など)、関係詞節(that 〜 など)といった、ひとまとまりで意味を持つ単位のことです。
また、最初から完璧な日本語訳を作る必要はありません。英語の語順のまま、まず大意を取る練習をしていきます。
理由2 主語と動詞を見つけられていない
どんなに長い英文でも、中心となる主語と動詞があります。ところが、関係詞節や前置詞句が入ると、「どれが文の中心の動詞なのか」が分からなくなる生徒が多く見られます。
そこで、まず主語と動詞を見つけ、必要に応じて目的語や補語を確認します。すべての単語に細かく記号を付けることが目的ではありません。目指すのは、文の骨格を捉えることです。
理由3 修飾関係を整理できていない
関係代名詞、分詞、不定詞、前置詞句などは、別の言葉を詳しく説明する働きをします。単語の意味を知っていても、修飾先を間違えると文全体の意味が変わってしまいます。大切なのは、どの言葉が何を説明しているかを意識することです。
練習として、長い部分をいったん括弧で囲み、何を説明しているのか確認します。次に、修飾部分を外して文の骨格を読み、その後で詳しい情報を戻していきます。この方法は、次の図解で具体的に紹介します。
理由4 代名詞と接続語を読み飛ばしている
it、they、this、that などの代名詞が何を指すのかを確認しないまま読み進めると、文と文のつながりが分からなくなります。
また、however、therefore、for example、in addition などの接続表現は、話の方向を示す大切な目印です。逆接、因果、具体例、追加といった関係を見分けることで、筆者の言いたいことが見えやすくなります。
単語の意味だけでなく、文と文の関係を追うこと。これも英文読解に欠かせない力です。
理由5 段落の要点を捉えていない
一文ずつ日本語にできても、「何について書かれた段落か」が分からないことがあります。一文を読むたびに細部だけを覚えようとすると、文章全体の流れを見失いやすくなるためです。
段落ごとに「話題」「筆者が伝えたいこと」「具体例」を整理し、段落の要点を一言でまとめる練習が有効です。設問を解くときも、本文のどこに根拠があるかを確認する習慣をつけましょう。
長い英文は、まず骨格から読む
次の英文で、英文読解の基本を確認してみましょう。単語は中学レベルでも、関係詞節と比較が入ると、読みにくく感じる生徒が多い文です。
The book that my English teacher recommended was easier to understand than I expected.
STEP 1骨格を確認
文全体の主語は The book、中心となる動詞は was です。「The book was easier(その本はより簡単だった)」が文の骨格になります。easier to understand は「より理解しやすい」という意味です。
STEP 2修飾部分を分ける
that my English teacher recommended は、The book を説明しています。「私の英語の先生が勧めた(本)」という意味です。これを中心部分と混ぜず、いったん括弧に入れて後から戻します。
STEP 3意味をつなぐ
than I expected は、比べる基準を示しています。すべてをつなげると「私の英語の先生が勧めたその本は、私が予想していたより理解しやすかった」となります。
読み方の流れは、次のようになります。
この例のように、先に骨格をつかんでから詳しい情報を戻すと、長い英文も落ち着いて読めるようになります。
読めない原因・状態・練習方法の比較表
ここまでの内容を、表にまとめます。気になる行から確認してみてください。
| 読めない原因 | よくある状態 | 必要な練習 |
|---|---|---|
| 一語ずつ訳している | 文の後半で前半の内容を忘れる | 意味のかたまりごとにスラッシュを入れる |
| 主語と動詞が分からない | 文の中心が見えない | 主語と中心動詞を先に探す |
| 修飾関係が曖昧 | どの言葉を説明しているか分からない | 修飾部分を括弧で囲む |
| 代名詞や接続語を読み飛ばす | 文と文のつながりを見失う | 指示内容と論理関係を書き込む |
| 段落の要点をまとめていない | 一文は訳せても全体の内容が残らない | 各段落を一言でまとめる |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールして確認できます。
長文が読めるようになる4つの練習
英語の勉強法として、次の4つのステップを順番に進めます。いきなり長文全体を読もうとせず、まず一文から始めることがポイントです。
STEP 1一文の主語と中心動詞を見つける
まず、短めの英文で主語と中心動詞に印を付けます。関係詞節や前置詞句は、いったん後回しにします。
STEP 2前置詞句・関係詞節・不定詞を意味のかたまりに分ける
スラッシュや括弧を使って、かたまりごとに区切ります。区切ったら、それぞれが何を説明しているかも確認します。
STEP 3代名詞が指す内容と、接続語が示す関係を確認する
it や they が何を指すのかを書き込みます。however や for example などは、逆接・具体例といった関係を余白にメモします。
STEP 4一文の意味をつなぎ、段落ごとに一言で要約する
段落を読み終えたら、「この段落は何の話か」を日本語で一言にまとめます。短くても構いません。
精読してから、読む速度を上げる
練習の日を、「構文を確認する日」と「時間を測って読む日」に分けると、取り組みやすくなります。大切なのは順番です。精読してから読む速度を上げる、という流れにします。
構文を確認する日
精読
- 主語と動詞を確認する
- 修飾関係を整理する
- 知らない表現を確認する
- 文章の根拠を確かめる
時間を測って読む日
速読練習
- 精読済みの英文を再読する
- 意味のかたまりで読む
- 英語の語順を意識する
- 内容を理解できる速度で読む
注意:理解しないまま速く目を動かすことは、速読練習ではありません。
初めて見る難しい英文を、理解できないまま速く読んでも力にはなりません。まず精読で構造を確認し、その英文を再び読むことで、意味のかたまりで読む感覚が身につきやすくなります。
保護者の方に確認してほしいこと
保護者の方へ
長文が読めない原因は、単語不足だけとは限りません。
「単語を覚えていないから読めない」と決めつけず、単語テストの結果だけで読解力を判断しないことが大切です。次の点を、お子さんと一緒に確認してみてください。
音読ができているかだけでなく、英文の構造を理解しているかも見てあげてください。和訳の正確さだけでなく、段落の要点を説明できるかも目安になります。
長文が苦手な場合は、難しい長文を増やす前に、一文の読み方を確認しましょう。「もっとたくさん読めばよい」と考えるより、どこで止まっているのかを見つけることが近道になります。
必要なのは、単語と文章をつなぐ練習
この記事のまとめ
- 単語を一語ずつ訳さない
- 主語と中心動詞を先に見つける
- 修飾部分と文のつながりを整理する
- 段落ごとの要点をまとめる
英語長文が読めないとき、すぐに長文問題の量を増やす必要はありません。まずは一文の構造を正しく捉え、意味のかたまりで読む練習から始めることが大切です。単語力という土台の上に、文章を読む力を一段ずつ積み上げていきましょう。
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