2026年10月4日日曜日

英語の長文、単語の意味は分かるのに読めない本当の理由

 

英語長文・読解力

英語の長文、

単語の意味は分かるのに読めない本当の理由

必要なのは、単語と文章をつなぐ力です

単語は分かる。それでも読めないのはなぜ?

「英単語テストでは点数が取れるのに、英語長文になると内容が頭に残らない」。

「一つ一つの単語は分かるのに、文全体の意味がつかめない」。

このような「単語は分かるのに長文が読めない」という相談は、中学生にも高校生にも、とても多くあります。保護者の方も、お子さんの様子を見て「単語はやっているのに、なぜだろう」と心配されているかもしれません。

教室で生徒を指導していると、このタイプの生徒は決してサボっているわけではありません。むしろ真面目に単語帳を開いている生徒が多いのです。足りないのは努力ではなく、練習の「段階」であることがほとんどです。

単語の意味が分かることと、文章が読めることは同じではありません。

長文は「単語の足し算」ではありません

英文は、単語を並べただけのものではありません。単語どうしがつながり、文になり、さらに文が集まって段落になります。そこには決まりごとと流れがあります。

長文読解では、単語の知識に加えて、次の力が必要になります。

  • 文の骨格(主語と動詞)を見つける力
  • 意味のかたまりで読む力
  • 修飾関係を整理する力
  • 代名詞や接続語から文章のつながりを追う力
  • 一文ごとの内容をつなぎ、段落の要点を捉える力

ただし、単語学習が不要だという話ではありません。単語力は英文読解の大切な土台です。土台があるからこそ、次の段階の練習が生きてきます。単語を覚えることと文章を読めることの間には、もう一段階の練習が必要なのです。

つまり、「単語を日本語へ置き換える作業」から、「英文の構造と流れを捉える読み方」へ切り替えていくことが、英文読解の第一歩になります。

読めない5つの原因

長文が読めない理由は、大きく5つに分けられます。自分やお子さんがどこで止まっているのか、確認しながら読んでみてください。

理由 1

知っている単語を一語ずつ訳している

よくある状態:文の後半を読むころには、前半の内容を忘れてしまう。

改善の方向性:意味のかたまりで、英語の語順のまま大意を取る。

理由 2

主語と動詞を見つけられていない

よくある状態:長い文のどれが中心の動詞なのか、分からなくなる。

改善の方向性:まず文の骨格を探し、必要に応じて目的語や補語を確認する。

理由 3

どの言葉がどこを説明しているか分からない

よくある状態:修飾先を取り違えて、文全体の意味が変わってしまう。

改善の方向性:説明部分を括弧で囲み、何を説明しているか確認する。

理由 4

代名詞と接続語を読み飛ばしている

よくある状態:文と文のつながりを見失い、話の方向が分からなくなる。

改善の方向性:指示内容と論理関係を確認しながら読む。

理由 5

段落の要点を捉えていない

よくある状態:一文は訳せても、何の話だったのか残らない。

改善の方向性:段落ごとに一言でまとめる。

理由1 一語ずつ日本語に置き換えている

英文を一語ずつ日本語へ変換していくと、文が長くなるほど最初の内容を忘れやすくなります。さらに、英語と日本語は語順が異なります。後ろから戻って訳す癖がつくと、英文読解の速度はなかなか上がりません。

ここで意識したいのは、単語ではなく「意味のかたまり」で捉えることです。意味のかたまりとは、前置詞句(in the park など)、不定詞(to understand など)、関係詞節(that 〜 など)といった、ひとまとまりで意味を持つ単位のことです。

また、最初から完璧な日本語訳を作る必要はありません。英語の語順のまま、まず大意を取る練習をしていきます。

理由2 主語と動詞を見つけられていない

どんなに長い英文でも、中心となる主語と動詞があります。ところが、関係詞節や前置詞句が入ると、「どれが文の中心の動詞なのか」が分からなくなる生徒が多く見られます。

そこで、まず主語と動詞を見つけ、必要に応じて目的語や補語を確認します。すべての単語に細かく記号を付けることが目的ではありません。目指すのは、文の骨格を捉えることです。

理由3 修飾関係を整理できていない

関係代名詞、分詞、不定詞、前置詞句などは、別の言葉を詳しく説明する働きをします。単語の意味を知っていても、修飾先を間違えると文全体の意味が変わってしまいます。大切なのは、どの言葉が何を説明しているかを意識することです。

練習として、長い部分をいったん括弧で囲み、何を説明しているのか確認します。次に、修飾部分を外して文の骨格を読み、その後で詳しい情報を戻していきます。この方法は、次の図解で具体的に紹介します。

理由4 代名詞と接続語を読み飛ばしている

it、they、this、that などの代名詞が何を指すのかを確認しないまま読み進めると、文と文のつながりが分からなくなります。

また、however、therefore、for example、in addition などの接続表現は、話の方向を示す大切な目印です。逆接、因果、具体例、追加といった関係を見分けることで、筆者の言いたいことが見えやすくなります。

単語の意味だけでなく、文と文の関係を追うこと。これも英文読解に欠かせない力です。

理由5 段落の要点を捉えていない

一文ずつ日本語にできても、「何について書かれた段落か」が分からないことがあります。一文を読むたびに細部だけを覚えようとすると、文章全体の流れを見失いやすくなるためです。

段落ごとに「話題」「筆者が伝えたいこと」「具体例」を整理し、段落の要点を一言でまとめる練習が有効です。設問を解くときも、本文のどこに根拠があるかを確認する習慣をつけましょう。

長い英文は、まず骨格から読む

次の英文で、英文読解の基本を確認してみましょう。単語は中学レベルでも、関係詞節と比較が入ると、読みにくく感じる生徒が多い文です。

The book that my English teacher recommended was easier to understand than I expected.

主語・骨格 動詞 修飾部分 比較部分

STEP 1骨格を確認

文全体の主語は The book、中心となる動詞は was です。「The book was easier(その本はより簡単だった)」が文の骨格になります。easier to understand は「より理解しやすい」という意味です。

STEP 2修飾部分を分ける

that my English teacher recommended は、The book を説明しています。「私の英語の先生が勧めた(本)」という意味です。これを中心部分と混ぜず、いったん括弧に入れて後から戻します。

STEP 3意味をつなぐ

than I expected は、比べる基準を示しています。すべてをつなげると「私の英語の先生が勧めたその本は、私が予想していたより理解しやすかった」となります。

読み方の流れは、次のようになります。

主語と動詞を見つける
↓
修飾部分を分ける
↓
意味のかたまりで読む
↓
文全体の意味をつなぐ

この例のように、先に骨格をつかんでから詳しい情報を戻すと、長い英文も落ち着いて読めるようになります。

読めない原因・状態・練習方法の比較表

ここまでの内容を、表にまとめます。気になる行から確認してみてください。

読めない原因 よくある状態 必要な練習
一語ずつ訳している 文の後半で前半の内容を忘れる 意味のかたまりごとにスラッシュを入れる
主語と動詞が分からない 文の中心が見えない 主語と中心動詞を先に探す
修飾関係が曖昧 どの言葉を説明しているか分からない 修飾部分を括弧で囲む
代名詞や接続語を読み飛ばす 文と文のつながりを見失う 指示内容と論理関係を書き込む
段落の要点をまとめていない 一文は訳せても全体の内容が残らない 各段落を一言でまとめる

※スマートフォンでは、表を左右にスクロールして確認できます。

長文が読めるようになる4つの練習

英語の勉強法として、次の4つのステップを順番に進めます。いきなり長文全体を読もうとせず、まず一文から始めることがポイントです。

STEP 1一文の主語と中心動詞を見つける

まず、短めの英文で主語と中心動詞に印を付けます。関係詞節や前置詞句は、いったん後回しにします。

↓

STEP 2前置詞句・関係詞節・不定詞を意味のかたまりに分ける

スラッシュや括弧を使って、かたまりごとに区切ります。区切ったら、それぞれが何を説明しているかも確認します。

↓

STEP 3代名詞が指す内容と、接続語が示す関係を確認する

it や they が何を指すのかを書き込みます。however や for example などは、逆接・具体例といった関係を余白にメモします。

↓

STEP 4一文の意味をつなぎ、段落ごとに一言で要約する

段落を読み終えたら、「この段落は何の話か」を日本語で一言にまとめます。短くても構いません。

精読してから、読む速度を上げる

練習の日を、「構文を確認する日」と「時間を測って読む日」に分けると、取り組みやすくなります。大切なのは順番です。精読してから読む速度を上げる、という流れにします。

構文を確認する日

精読

  • 主語と動詞を確認する
  • 修飾関係を整理する
  • 知らない表現を確認する
  • 文章の根拠を確かめる

時間を測って読む日

速読練習

  • 精読済みの英文を再読する
  • 意味のかたまりで読む
  • 英語の語順を意識する
  • 内容を理解できる速度で読む

注意:理解しないまま速く目を動かすことは、速読練習ではありません。

初めて見る難しい英文を、理解できないまま速く読んでも力にはなりません。まず精読で構造を確認し、その英文を再び読むことで、意味のかたまりで読む感覚が身につきやすくなります。

保護者の方に確認してほしいこと

保護者の方へ

長文が読めない原因は、単語不足だけとは限りません。

「単語を覚えていないから読めない」と決めつけず、単語テストの結果だけで読解力を判断しないことが大切です。次の点を、お子さんと一緒に確認してみてください。

一文の主語と動詞を説明できるか
どの部分がどの言葉を説明しているか分かるか
代名詞が何を指しているか分かるか
段落の内容を一言でまとめられるか

音読ができているかだけでなく、英文の構造を理解しているかも見てあげてください。和訳の正確さだけでなく、段落の要点を説明できるかも目安になります。

長文が苦手な場合は、難しい長文を増やす前に、一文の読み方を確認しましょう。「もっとたくさん読めばよい」と考えるより、どこで止まっているのかを見つけることが近道になります。

必要なのは、単語と文章をつなぐ練習

この記事のまとめ

  1. 単語を一語ずつ訳さない
  2. 主語と中心動詞を先に見つける
  3. 修飾部分と文のつながりを整理する
  4. 段落ごとの要点をまとめる

英語長文が読めないとき、すぐに長文問題の量を増やす必要はありません。まずは一文の構造を正しく捉え、意味のかたまりで読む練習から始めることが大切です。単語力という土台の上に、文章を読む力を一段ずつ積み上げていきましょう。

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