―単元を絞る3つの基準
「冬休みまでに、苦手をなくしておきたい。」そう考えるのは、お子さまの学習を真剣に考えているからこそ、ですよね。
たとえば、英語は中1から、数学は計算から図形まで、理科・社会も全範囲をやり直そうと計画を立てたものの、学校の宿題とテスト対策だけで毎日の予定が埋まり、数日で止まってしまう。そんな場面は、決して珍しくありません。計画が続かないのは、意志が弱いからではありません。
先にお伝えしておくと、「全部直すこと」自体が悪いのではありません。問題になるのは、実行できるかどうかを考えないまま、復習する単元や教材を広げすぎてしまうこと。広い範囲を少しずつ触るだけで終わると、「何が自力でできるようになったのか」が確認しにくくなります。冬休みの開始日や学校行事は学校ごとに違いますので、「あと何日」と決めつけず、残りの期間で実行できる範囲と、確認までに必要な時間を考えてみましょう。
苦手を全部並べることと、全部同時に始めることは違います
苦手を一覧にして全体像をつかむことには、意味があります。ただし、並べたものを同時に進める必要はありません。このとき「数学が苦手」「英語が分からない」と教科単位で書くと、どこから手をつけてよいか見えなくなります。
たとえば「分数を含む方程式の計算」「一次関数の式とグラフの関係」「主語に合わせた動詞の形」のように、止まっている内容を小さく特定します。間違い1回だけで苦手と判断せず、答案や短い確認問題で確かめてみてください。
基準① ほかの学習を止めている「土台」か
前提となる理解が不足し、別の単元でも繰り返し止まっているなら、優先して確認したい内容です。たとえば次のような場合です。
- 分数計算が不安定で、方程式の計算でも誤る
- 文字式の意味が曖昧で、文章題の立式が難しい
- 主語と動詞の関係が分からず、英文を読むときも文法問題でも迷う
ここで「基礎だから全範囲を最初から」とはしません。今の学習を止めている前提を確かめ、必要なところに戻るのがポイントです。また、土台が直れば自動的に応用まで解けるわけではないため、その後に使う練習も必要です。
基準② 近い目標に関わる単元か
次の期末テスト、学校の進度、受験で必要な範囲などとの関係を確認します。たとえば、期末範囲の関数に向けて座標や比例の理解を確かめる。入試の英語長文に向けて、頻出語彙や既習文法の不足を補う。理科の計算問題に向けて、関係する用語や数量の意味を確かめる。こうした形です。
手がかりにするのは、学校の範囲表、授業内容、公式の入試情報、過去問などです。根拠なく「ここは必ず出る」「ここは出ない」と予想するのは避けましょう。また、受験生と非受験生では目標が異なるため、同じ単元を全員に勧めることはできません。
基準③ 取り組む範囲と確認方法を、具体的に決められるか
使える時間と今の理解度から、学習する範囲を小さく設定します。
→ 一般動詞の現在形について、肯定文・否定文・疑問文の作り方を確認し、基本問題を自力で解く
→ 2点の座標から一次関数の式を求める問題について、傾きと切片の意味を説明し、類題を解く
小さく見えても、理解・演習・再確認まで進められる範囲にすることが大切です。「短時間で終わりそうか」だけで選ばず、先生への質問や説明を受ける時間など、必要な支援も計画に入れてください。範囲を絞ることと、時間のかかる苦手を捨てることは別のことです。支援を受けながら難しい課題に取り組むことと、範囲を絞ることは両立します。
3つの基準で、優先単元を整理する
中学生を想定した仮の例です。点数をつけて順位を決めるものではなく、お子さまによって内容は変わります。
| 候補の単元 | 土台との関係 | 近い目標との関係 | 今回取り組む小さな範囲 |
|---|---|---|---|
| 分数を含む方程式の計算 | 分数計算の不安定さが、ほかの計算にも影響している | 期末範囲で方程式を使う | 通分と、分数を含む一次方程式の基本問題を自力で解く |
| 一次関数の式とグラフ | 座標・比例の理解が前提になる | 次の期末テストの範囲に含まれる | 2点の座標から式を求め、傾きと切片を説明する |
| 主語に合わせた動詞の形(英語) | 英文を読むときも文法問題でも迷う | 授業で次の文法に進んでいる | be動詞と一般動詞の使い分けを確認し、基本問題を解く |
なお、3つすべてに当てはまらなければ選べない、ということではありません。重要な土台の不足など、1つの理由が強く優先につながる場合もあります。
選んだ単元は「1回解いた」で終わらせない
「解説を読んだ」「ページを終えた」ことと、「使えるようになった」ことは別です。次の流れで、確かめながら進めましょう。
短い確認で、どこで止まるかを調べる
必要な説明を受け、意味と解き方を理解する
答えや解説を見ずに、基本問題・類題を解く
日を空けて、再び自力でできるか確かめる
続ける範囲や、次に取り組む単元を調整する
一度正解しただけで完了にはしません。誤りが続くときは、範囲や説明の受け方を見直します。復習の間隔や必要な問題数は、お子さまの様子に合わせて決めてください。
今は取り組まない単元も、記録しておきます
「今回は保留」と「もう勉強しなくてよい」は違います。保留した単元には、後で確認する時期、先生に相談する内容、取り組むために必要な前提を簡単に残しておきましょう。
新しい授業で必要になったり、予定より早く進んだりしたときは、優先順位を変えて構いません。計画を守ること自体が目的ではなく、実際の学習状況に合わせて調整していくものです。
保護者の声かけ
つい口に出てしまう言葉も、少し言い換えるだけで、お子さまが話しやすくなります。
お子さま本人だけで原因を特定できないときは、学校や塾の先生と、短い確認問題や答案を見ながら相談してみてください。保護者の方が単元や教材を一方的に増やさないことも、続けやすさにつながります。
まとめ
- ほかの学習を止めている土台か
- 近いテストや受験などの目標に関わるか
- 取り組む範囲と確認方法を具体化できるか
まずは、苦手を3つ書き出し、3つの基準を使って、今週最初に取り組む範囲を1つ決めてみてください。3つという数は、着手しやすくするための例で、決まりではありません。
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